Joe Henderson ジョン・ヘンダーソン “Forces of Nature: Live at Slugs’”
恐るべしエネルギー! 歴史的ライブ音源に降参しました。

1966年の未発表ライブということで、
さして期待せず聴いたら、えらいことに。
このような極めて質が高く、エキサイトな歴史的ライブ音源が、
今の世になって出てくるというところが、
ジャズ音楽の面白さでもある。
このライブアルバムを聴いて、改めてジョー・ヘンダーソンの
インプロバイザーとしてのあまりの素晴らしさに、痛く感動してしまった。
いくつかの論点に分けて、このアルバムの演奏の素晴らしさを解説したいと思う。
まず、彼の演奏における体力面というか、エネルギッシュさ。
「どんだけ、吹くねん」というのが正直な感想。
よく、体力が持つなあと。しかもインプロのクオリティの高さが落ちない。
コルトレーン やケニー・ギャレットなどもそうなんだが、
一流のインプロバイザーは、疲れを知らないのか!
リズム隊はどう思ってるんやろう。
やはり「どんだけ、吹くねん、きついなあ」と思っているのでしょうか。
次に、ジョーのアドリブフレーズの多様さとアイデア、
そして、抜群のリズムセンス。
長尺のソロにも、くどさを感じない。
一つ一つが粒立った、モーダルのお手本のようなフレーズが、
延々と繰り広げられるダイナミクスには、心底、鳥肌が立つ。
ヴァーチュオーゾの技である。
そして、どんな、アグレッシブでエキサイティングなフレーズを奏でても、
リズムが正確で、全く崩れない。恐るべし!
それは、双頭のマッコイ・タイナーも同様で、
恐ろしく、素晴らしいソロを弾きまくっている。
最後に、このドキュメンタリーともいうべき、歴史的邂逅の奇跡。
それは、ドラムがエルビンではなく、ディジョネットということ。
そして、ベースがヘンリー・グライムスということ。
これがエルビンだったら(エルビンが合わないと言っているわけでは勿論ない)、
ここまでエネルギッシュなドキュメントにはならなかったと思う。
若きディジョネットの迸るエネルギーがムンムンと伝わって来る。
既に技術的には、この時期に完成されていることがよくわかる。
また、改めて、ヘンリー・グライムスの虚無僧のような
献身的でステディなベースワークには、涙が出る。
ヘンリー・グライムスはもっともっと評価されていい。
選曲も最高だし、録音も結構いいということもあるが、
とにかく全ての演奏(パフォーマンス)がとてつもなく素晴らしい。
1曲目から、圧倒的な「イン・ン・アウト」に息が止まり、
合間に演奏されるバラード「ウィル・ビー・ドゥゲザー・アゲイン」で
ほっとしながらも、ジャズの魅力の沼に入っていく緊張感に抗えない。
そして、28分に渡る「テイキング・オフ」に突入すると、
これはとんでもない歴史的アーカイブであるという確信を持つに至った。
よく録音してくれていたものだ!
ジャズのエネルギーと醍醐味を堪能できる、
この素晴らしい歴史的名盤を残しておいてくれて、
本当に神様に感謝である。
Forces Of Nature (Live At Slugs’) (1966, Blue Note)
1 In ‘N Out (Joe Henderson) 26:44
2 We’ll Be Together Again (Carl Fischer, Frankie Laine) 14:15
3 Taking Off (Henry Grimes, Jack DeJohnette, Joe Henderson, McCoy Tyner) 28:18
4 The Believer (McCoy Tyner) 10:05
5 Isotope (Joe Henderson) 7:03
Joe Henderson(ts),
McCoy Tyner(p),
Henry Grimes (b),
Jack DeJohnette(ds)
