Gerald Clayton ジェラルド・クレイトン Ones & Twos
100回聴いたら・・・

今や時代を背負うアーティスト、
ジェラルド・クレイトンの意欲的な新作である。
このアルバムに関連したインタビューで、
クレイトン自身が次のように語っている。
「一般的には、現代は人々の集中力が短くなり、じっくり音楽を聴くことが少なくなったと言われている。でも、ヴィレッジ・ヴァンガードで真剣に耳を傾ける人たちや、高品質なオーディオでレコードの細かなノイズまで聴き取る人たちが、今も確かにいる。僕はそういう人たちをパーティに招きたいんだ」
つまり、集中力を持って、
じっくり、あらゆる角度から、
吟味してほしい、と彼は言っているのである。
彼の言質から紹介したのも、
私の一聴した感想から言えば、
にもコメントしたが、
正直、聴き重ねても、
なかなか感情移入できないのである。
そしてさらに、普通そうであっても、
一曲、二曲程度は、琴線に触れるものが
出てくるものだが、
そういうことも起きない。
ただ、ただ、淡々と、断片というか、
素材を聴かされている気がして、
曲全体、あるいはアルバム全体としての
印象が希薄なのである。
ターンテーブリズムの芸術へのオマージュ
と言っているので、しょうがないかも
しれないが。
このアルバムの特徴でもある
ループやリフレインを多用する曲想であっても、
マイルスの1970年前後のサウンドのように、
曲全体としてのトーナリティや、
緊張と弛緩のドラマ性に、
心奪われる気が、まだしないのである。
でも、このコーナーは「厳選!最新作」である。
なぜ取り上げたのか。
クレイトン自身が語る、
「僕の探究的な視点」とか
「作曲する際に感じる不確実性」
と言った語彙から察するに、
彼の非常に哲学的、アートな思惟性から生まれた、
新たな音楽のあり方、可能性の提示を、
心に入ってこないからと言って、
完全に無視して、素通りしてしまうのは、
なんとも勿体無いような気もするのである。
現在の私の評価としては、
「過度期の実験的なアートワーク」
ということで、今後に期待したいと思う。
ただ、100回くらい聴くと、
常人には簡単には汲みせない、エクスタシーが
やってくるのかもしれない。
彼のこれまでのピアニストとしての即興の
あまりの素晴らしさを考えると、
やはり無視できないのである。
Pianist & composer Gerald Clayton
vibraphonist Joel Ross
flutist Elena Pinderhughes
trumpeter Marquis Hill
drummer Kendrick Scott
ほか
1. Angels Speak
2. Cinnamon Sugar
3. Sacrifice Culture
4. How Much Love?
5. Count M
6. Just Above
7. Lovingly
8. Rush
9. For Peace
10. More Always
11. Space Seas
12. Endless Tubes
