「Orbits」という曲の言い尽くせない魅力

Miles Davis  マイルス・デイビス Miles&smiles

この、いかにも凡庸で、気の抜けた

人をくったような

アルバムタイトルとジャケットながら

その内容は、言葉に尽くせない魅力を詰め込んだ

レガシーである

 

思うに

「ESP」

「マイルス・スマイルズ

ソーサラー」の3枚が

マイルスという特異な才能にディレクションされた

数多くのアルバムの中でも

最高レベルに結実した作品群と言えるのではないか

 

いずれのアルバムも素晴らしく

甲乙つけ難いが

この「マイルス・スマイルズ」が

一番、コンセプチュアルであり

革新性を孕んでいる気がする

 

その象徴的な曲が

冒頭のショーターが作曲した「Orbits」という曲

邦訳すると「軌道」という意味であるが

ある意味、主観性や感情といった人間味を排した

徹底した無機質な曲調や演奏ぶりは

一聴して平板であり取り止めもない音楽にさえ聴こえる

 

だが、それは明らかにマイルスならではの

即興の可能性を大きく広げ自由にした、反骨精神溢れる

エポックメイキングな出来事なのである

 

かつて油井正一が「アスペクト・イン・ジャズ」という

ラジオ番組(好きでした)で

このアルバムを紹介していたが

その中で、「Orbits」を取り上げ

解説した次の言葉が、いまだに忘れられず

心に残り続けている

裏覚えながらご紹介すると

「続く、ハービー・ハンコックによるソロも

延々とホリゾンタルなラインで・・・・云々」

油井正一の聴きぶりの正確さが

この「延々とホリゾンタルなライン」という

言葉に言い尽くされている気がする

まさに言い得て妙

 

抑揚を抑えた、淡々としたフレーズの羅列は

水平方向に延々にどこまでも伸びていくイメージなのだ

ショーターが提示した世界観とも言えようが

この黄金期のメンバーがよくその方法論を共有し、理解し

一丸となって、新たな即興の地平を描き切った

センスと姿勢に、驚きを禁じ得ない

まさに神懸かっている

 

この後もマイルスは進化していくのではあるが

やはりこの1965年から1967年にかけての

作品群が、すば抜けて革新的であり、完成度が高いと思うのである

何度聴いても

新たな発見があるとともに、新鮮である

 

Miles Davis(tp)
Wayne Shorter(ts)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Tony Williams(ds)

 

    1  Orbits 

    2  Circle 

    3  Footprints 

    4  Dolores 

    5  Freedom Jazz Dance 

    6  Ginger Bread Boy 


www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

コメントを残す