安心・安全のイリアーヌ LIVE!!

Eliane Elias(イリアーヌ・イリアス) Ao Vivo

イリアーヌの活動歴もすでに40年以上にも及ぶが、相変わらずピアノも歌も元気いっぱいで、聴いていてこちらが高揚してくる。一聴してわかる彼女独特のピアノフレーズ。他によく似た奏法のピアニストを少なくとも私は知らない。若かりし頃のアルバム『FANTASIA』を聴いてもよくわかるが、彼女がいかにジャズの語法に立脚し、新たなブラジル音楽の素晴らしさを世に知らしめたかが、振り返ってみるとよく理解できる。彼女の功績は大きい。

今回は、彼女のキャリアにおいても珍しいライブ音源だ。2023年10月、サンフランシスコのちょうどいい大きさのホールにおける、観客の反応の様子がなんとも心地よい。夫であるマーク・ジョンソンをはじめ、ツアーを共にしたメンバーによる演奏は、本人をして「素晴らしい作品になったと思う。バンドはツアーを共にしてきたから親和性が高くて、すべてが一夜で記録されたの。私がライブで表現してきた音楽の『エッセンス』がしっかりと詰まっているわ」と言わしめている。

安心・安全のイリアーヌのパフォーマンスをお楽しみに!

絶妙な空間が生み出す「親密なグルーヴ」

本作は2023年10月、サンフランシスコの「SFJAZZ Center」内にある「Miner Auditorium」で録音されたようだ。キャパシティ約700席という空間は、オーディエンスとの絶妙な距離感を保ち、ジャズ専用設計ならではの極めて良質なアコースティックの響きをもたらしているようだ。イリアーヌ自身も「新作を聴いてもらえばわかるけど、とても親密になる瞬間があるの。ボサノヴァに入り込むと雰囲気が変わって、グルーヴも曲も美しく、本当に楽しいのよ」と語っており、会場の空気が一体となって生み出されるライブ特有のマジックが本作にはしっかり記録されている気がする。

カルテットが織りなす「これぞブラジリアン・ジャズ」

この親密な空間を満たすのは、長年のツアーで極限まで練り上げられたバンドの演奏である。夫でありビル・エヴァンス・トリオ最後のベーシストでもあるマーク・ジョンソン、そしてドラムのハファエル・バラータが織りなすリズム隊は、イリアーヌのピアノの躍動を底辺でしっかりと支えている。

特に、彼女のオリジナル曲『At First Sight』は、自分にとって、とても懐かしく思い出深い。この曲が持つ、明るくも悲しく、切なさを併せ持つ曲調は、やはり彼女のブラジルのソウルを強く感じさせてくれる名曲である。ボサノヴァ・スタンダードのみならず、こうしたオリジナル曲においても、彼女がいかにジャズの語法に立脚し、新たなブラジル音楽の地平を提示したのかがよくわかるはずだ。

おわりに

ライブ盤というフォーマットだからこそ味わえる、一期一会のスリリングな展開と雰囲気。ベテランの域に達してもなお進化を止めず、聴く者を高揚させてくれる彼女の音楽への情熱が、この一枚には溢れている。今宵はぜひ、この極上のパフォーマンスに身を委ねてみてはいかがだろうか。

アルバム情報

  • パーソネル:
    • イリアーヌ・イリアス (Piano, Vocals)
    • レアンドロ・ペレグリーノ (Guitar)
    • マーク・ジョンソン (Bass)
    • ハファエル・バラータ (Drums)
  • 録音年月: 2023年10月
  • レーベル: Candid Records
  • 収録曲:
    1. Brasil (Aquarela do Brasil)
    2. Você
    3. Sambou Sambou
    4. Você e Eu (You and I)
    5. Eu Sambo Mesmo (I Really Samba)
    6. Bahia Medley: Saudade da Bahia / Você Já Foi à Bahia
    7. Esta Tarde Vi Llover
    8. At First Sight
    9. A Felicidade
    10. Só Danço Samba

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At First Sight (Live)

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