厳選!YouTube:マイルス・デイヴィス・クインテット 1964年ミラノ公演
マイルス・デイヴィス・クインテット “第二期黄金時代の夜明け。奇跡のカメラワークが捉えた至高の即興芸術”
これぞ、私にとって震撼のアーカイブ映像である。イタリア・ミラノにあるテアトロ・デッラルテでの1964年10月11日のライブ映像。カメラワーク、音質、構成、どれをとっても緻密で質が高く、マイルスの「第二期黄金時代の」幕開けにおける、クリエイティブな即興演奏の様子を的確に捉えた、誠に貴重な記録映像なのだ。
ニコリともしない演者たち(唯一トニー・ウィリアムスだけが少し嬉しそうに叩いている)、マイルスがハンコックのソロの終わり辺りにピアノの鍵盤を押さえる仕草、ショーターがのけぞって吹く姿の神々しさ、タワーのように聳え立つステディなロン・カーター、ハンコックのテーマ時のバッキングの的確さとソロを取る時の脱力の仕方など、この映像には彼らの音楽に対する姿勢、考え方、作法に対する凄まじい量の情報が溢れている。あまりにも興味深い。何より、いろんな角度から捉えたカメラワークが本当に素晴らしく、第一級のアーカイブなのである。
この映像が収録された1964年秋のヨーロッパ・ツアーは、マイルスにとっても極めて重要な分岐点であった。長らく不在だったテナー・サックスのレギュラー・メンバーとして、直前の9月にウェイン・ショーターが遂に加入。これにより、後に「第二期黄金時代」と呼ばれる史上最強のクインテットが遂に完成した直後のツアーなのだ。
当時のマイルスは、ショーターの加入によってバンドが完全体になったことに深い歓びを感じていた。マイルスは自伝の中で「ウェインは俺たちの音楽のアイデアを形にしてくれる存在だった」「ハービー、ロン、トニーの3人は、すでに音楽のルールを解体し再構築していたが、ウェインが入ったことで俺たちはどんな曲でも、どんな風にでも演奏できるようになった」と最大級の賛辞を送っている。実際、このミラノ公演(イタリア国営放送RAI収録)の映像からは、ショーターという最後のピースがはまったことで、バンド全体がリミッターを外し、未知の領域へと踏み出していくスリリングな化学反応が克明に記録されている。
この映像を見て、改めてショーターとハンコックの異次元の素晴らしさと、彼らを束ね導くマイルスのオーガナイザーとしての力を思い知らされる。そして個人的には、やはりこのメンバーが最強だったと思わざるを得ない。
